セントジョンズワート。
植物にあまり興味のない人には聞かない名前かもしれません。
でもとても優秀なハーブの1つです。
学名はHypericum perforatum
和名では西洋オトギリソウと呼ばれています。
漢字で書くと弟切草。
なんとも物騒な名前ですが、いくつかこの名前にもとづく逸話が残されています。
逸話のひとつ、鷹匠の兄弟の話を簡単に書きますね。
傷ついた鷹を兄は薬草を使って治療していた。
その薬草の効き目が恐ろしく高く、鷹は全快する。
村人がその薬草の名前を聞いても兄は決して漏らすことはせず、兄弟の秘密だった。
ある日弟は口を滑らしてしまい、その薬草の名前を話してしまう。
それを知った兄は弟を切り殺してしまった。
その時の血しぶきが薬草にかかり、黒い斑点のように見えるようになった。
江戸時代の百科事典、和漢三才図絵にはその効能と伝説が記されているそうです。
なんともいわくありげなハーブのような感じですね。
セントジョンズワートを抽出したインフューズドオイルは赤い色をしているんですよ。
この逸話でもあるように、セントジョンズワートは傷の手当てに使われるハーブでもあります。
インフューズドオイルを基材として火傷やけがなどにも利用できます。
昔の人々はこのハーブの力を体感していたんですね。
また、セントジョンズワートは夏至の頃、聖ヨハネの日(6月24日)に収穫をすると最も治癒力が高いと言われています。
もし、お庭でセントジョンズワートが咲いていたらぜひ、収穫をしてみてくださいね。
さて、セントジョンズワートは傷の治癒だけではありません。
心への作用があることが分かってきました。
暗く沈んだ心、先の見えない絶望、恐れや悲嘆。
そういった心に明るさを取り戻してくれるとして「サンシャイン・サプリメント」と呼ばれています。
セントジョンズワートの成分である、ハイパーフォリン、ヒぺリシンなどが抗うつ作用を示すとされています。
気分の落ち込みや不安などがある時はこのセントジョンズワートのハーブティーを試してみてください。
ただし、このセントジョンズワートには少し注意が必要となります。
<注意事項>
下記の薬を服用している場合、セントジョンズワートの成分が薬の効果を減弱、または増強してしまう可能性があります。
・ジゴキシン(強心薬)
・インジナビル(抗HIV薬)
・シクロスポリン(免疫抑制薬)
・ワルファリン(血液凝固防止薬)
・テオフィリン(気管支拡張薬)
・経口避妊薬
該当される方は必ず医師の指導を受けてから利用するようにしてくださいね。
ヒペリシンに光感差作用があるため、特に色白の人は注意が必要。
(紫外線で日焼けのような症状や発疹が出る可能性がある)
同じように気分の落ち込みを明るくするハーブとしてパッションフラワーやバレリアンなどもあります。
こちらの2つはお薬との併用での注意事項はありませんので、お試しになってみるのも良いかもしれません。
光感差に関しては稀ではあると思いますが、注意として覚えておきましょう。
さて、セントジョンズワートがどのようなハーブか少しはお分かりになったでしょうか^^
傷の治療に、気分の落ち込みに使うことができるハーブです。
ハーブティーとして飲む場合はリンデンなどと合わせると、よりリラックス感がUPします。
セントジョンズワートは少し苦みがあるので、苦手な人ははちみつなどの甘味を加えると飲みやすくなると思いますよ。
アルコールで抽出したチンキは気分が落ち込んだ時に飲み物などに入れて飲んでも良いです。
インフューズドオイル(侵出油)の場合は蜜蝋や精油などと合わせてハンドクリームなどを作っても良いでしょう。
それぞれの方法で使い方もたくさんあります。
ワンちゃんへの利用方法ですが、注意事項は同じです。
お薬を服用している場合は獣医さんに確認してください。
けがをしてしまったり、火傷をしてしまった時の回復の手助けをしてくれます。
炎症を鎮めてくれる消炎作用、痛みを落ち着かせてくれる鎮痛作用もこのセントジョンズワートには入っています。
いざという時のために、セントジョンズワートの軟膏を作っておくのも良いかもしれないですね。
セントジョンズワート、ぜひ利用してみてください^^